大野元明さん

陶芸家


土とともに生きる

           作詞 大野 元明
           作曲 細川 匡美
『太陽のぬくもりは大地の土を暖め、その中に生きているすべてのものを、大きく優しい心とかえ、土とともに生きる喜びとなる』
母なる大地から生まれた土、土、土、/土はふれることにより生きる喜びを心のなかに育ててくれる
宇宙とともに呼吸する土、土、土、/土は太陽の手のなかに私たちの未来に明るい光をあたえてくれ



● 先生はいつ頃から陶芸家になろうとしたのですか。
私の親は医者だったんですが、私は医者にならずに、絵が好きだったので絵描きになろうとした。
私は17才の時、「はくじつ会」という展覧会に油絵を出品し入選した。その時天才画家現る」と言われた。その後色々と美術の教師をしたりしたが、自分の身の振り方がわからなくなり、色々研究しやっと自分の生きる道を発見した。


● 先生、北本焼きっていうのがあるそうですが?
 これが北本焼きですよ。土は北本の土それも内の庭から取って土でないとダメなんですよ。焼いたばっかりの時は素焼きみたいで、使っているうちにお酒が(?)この色を、艶を出してくれるんですよ。持った感じも口に当てた感じもいいでしょ。私が酒を飲むもんだから、この微妙な口あたりができるんですよ。これでお酒を飲むとお酒の味がまるで違うでしょ。
実は私の屋敷内に井戸を掘ったんですが、そのときでてきた土をみて、これは陶器にいいっていうんでしまっておいたんです。それで焼いたのがこれですよ。
 北本ならどこからでてきた土でもこんな風に焼けると思ったら大間違いですよ、私の家の庭からでた土でなきゃダメなんです(大笑い)
私が酒飲みなので昔からいい盃を作ってきた。この盃の口にあたる部分の薄さというのは技術なんですよ。作っている人でないとわからないと思うけど、難しいんですよ。
 高級な陶器であっても高いものだからと桐の箱に入れてしまっていてはダメなんですよ。土は生きているんです、使わなくてはダメです。


● 先生は非常に若々しいですが、その若さの秘訣はなんですか?
私は宇宙の微粒子と会話している、その中から生命をもらう。それが私の元気の元なんです。
人間の一生なんて地球の歴史から考えたら、ほんの一瞬です。人生100年一生懸命生きていると充実している。なまけて生きていると何にもならない。生きている価値がない。ぶつかって悩んで、そんな中に出会いがあり発見がある。生きているっておもしろい。1000年も前にすごい建築を作り、星の計算をした人がいる。そう考えると人間なんてたいして進歩していない。
 答えを出そうとして答えに向かっていくと、その答えしかでない。そこにはオリジナルがない。答えを求めずに冒険すると色々なものが見えてくる。ここに人間と物との会話があるんですよ。私はいつも土と会話している。仕事と心の会話ができなければいい仕事はできない。相手(土)も自分に惚れてきて一体化する。
 世界はすべて未知数なんです。決めようとするからいけない。未知に対する冒険、未完成の人生ほど幸福である。未完成は不安だから結論を出そうとするが、そんなことは一切ない。人間はクリエイティブでなければならない。守りの人間になったら進歩もないし得るものは何もない。


● 今後の先生の創作活動に対する抱負は?
 僕はね、陶器を製作していますが、非常に微妙なもので計算できるものではない。釜を開けてみて全部期待はずれ、毎日裏切られている。でもね、満足なものができたときには僕は急に年寄りになっちゃうと思いますよ。
 これからも冒険をしたい。未知のものにぶつかっていきたい。自分の持っている過去のものを捨てて新しいものに挑戦ををする。
でも、なかなか過去を捨てられない。それは捨てなければ安心だからなんです。捨てないで守っていると人は死んでしまう。捨てて戦うからこそ生きる喜びがあり、生命の芽生えがある。僕がいつも若々しくいられるのは、それだと思っている。
 先生は陶芸家であると共に画家であり、教育心理学者であると、とどまるところを知らない先生の話に聞き入っていると先生が、「私が作った歌を聞かせてあげる」と歌い出しました。みんなで大合唱しながら、楽しいひとときの締めくくりました。